悩める理系人間に楽しく生きるための武器を伝授しよう

ちょっとしたコツで、理系人間たちの生活はもっと楽に輝く。

大学院に進学を決める前に自分に問うてほしい2つの質問

多くの理系学部生、特に3-4年生のきみたちは、ちょうど今大学院への進学を考えているころでしょうか。

でも正直に言うと、それが本当に正しい選択なのかどうかは絶対に再考したほうがいい


今の理系って、大学院に進学することが「当たり前」になっていて、結構何も考えずにそのまま上がってしまう人が多いのだけど、これ、自分の貴重な20代の人生の20-50%を投資する決断なのです。キャリアの中で20代の2-5年で、本当に貴重だから!まじで真剣に考えて!というのが私の心の叫び。

いわゆる”あんま向いてない人”が大学院に進学してしまったときの悲惨さったら、後続のエントリにも書くけれど、本人もまわりも苦労します。

大学院進学を決める前に、一歩立ち止まって、次の2つの質問を自分に問うてみてください! 

>あなた、本当に研究が好きですか?

やる前にわかるわけないじゃん!って思うかもしれないけど、ある程度予想する方法はある。よいプロキシになるのが「小さい時に自由研究の宿題が大好きだったか」ということ。夏休みの最後まで自由研究を先延ばしにして、再度親に泣きついていたような私のような人間は、おそらく研究室に入ったとしても楽しめない確率が高いと思う。実際に大学院で活き活きと輝いていた人間は、小さなころから誰に言われることもなく実験を繰り広げていた傾向がある(混ぜるな危険、という洗剤を混ぜてみて緑色のガスを発生させてはしゃいでいた、など)

 

>どんな過酷な経済状況でも、研究に没頭できる自信はありますか?

悲しい現実を述べようー特に大学に残るアカデミアの研究者は、大概高学歴ワーキングプアとしての末路をたどる。学生時代から高学歴ワーキングプアの悲しい現実は襲ってくる・・・まわりは就職しているのに自分は収入がないまま、合コン代さえ払うのが惜しい・・・みたいな生活をしてもなお、あなたは研究に没頭できるような無欲な人間?

 

この2つの質問の両方に、それこそ何の疑いもなくYESと言えるのであれば、是非進学してください。でも自信をもってそう言えないのであれば、進学しないキャリアについて考え始めたほうが良いかもしれません。

理系学生の悩みにはパターンがある

私は今は戦略コンサルタントとしていわゆる「非理系」キャリアをつっぱしってます。

けれどその前は、いちおう理系的な就職もしたし、いちおうばりばりの理系学生として博士号を取得したし、大学院を卒業するときにはいちおう最高学府からの表彰(東大総長賞なるもの)も受けました。

だから、博士号をとりたい学生さんから研究やラボ生活の相談を受けることもあれば、理系就職をしたい学生さんから就職の相談をされることもあるし、いわゆるコンサルタントみたいなちょっと普通の理系とは違ったキャリアを歩みたい理系学生さんからの相談も受けています。

どのカテゴリの相談であっても、私に相談してくる理系学生さんはだいたい下の3パターンのどれかには当てはまるように思います。

1:ずっと研究者になりたいと思って大学院に入ったのに、大学院・研究室が絶望的にツマラナイ(そして時にめちゃくちゃ理不尽な)場所だと気付いてしまった

2:いくら必死に実験がんばっても全く研究成果がでない

3:一所懸命に研究やってきたのに就職がうまくいかない

 

せっかく溢れんばかりの希望と才能をもって、日本の未来を支えるべく大学院に進学した学生さんが、ボロボロになって自信を失って朽ち果てていくのをたくさん見てきました。

日本の劣悪な大学院の環境と進学システムが原因なのは明らかなのだから、「じゃあ日本中の劣悪研究室とそれにまつわる生態系をぶっ潰す!!」ことができたら良いのだけれど、現実的にそうもいかない。

だから、私は大学院というジャングルに入ってしまったみなさんに、武器や護身術を与えたいです。生き残ったひとりの「サバイバー」としての、助言です。

めざすこととしては下の3つを通して、輝くべき理系の才能がちゃんと輝く社会を作ること。

1:いわゆる天才を除く、ごく普通の人間が理系大学院進学を選んでしまったときにふりかかるあらゆる災難を乗り越えられるよう支援したい

2:理系研究室の劣悪かつ理不尽な環境でも、理系学生さんが充実した生活と明るい未来を送れるよう支援したい

3:そもそも理系研究室の環境をもっと若い人達に知ってもらうことによって、間違って理系大学院に進学してしまう人を減らしたい

 

ここに書くことは、ちょっとした「理系大学院でうまくサバイブするためのコツ」であり、決して大それたテクニックや体系的な知識ではないです。このブログの中身をしょーもないなって思う学生さんたちはそれで結構。どうぞそのまま理系街道をつっぱしってください!!

けれど、いわゆる「凡人学生」として大学院というジャングルに入りボロボロになりつつそれでも生き残ったひとりの「サバイバー」としての経験をシェアすることが少しでも悩める学生さんたちのお役に立てるのなら、私のボロボロ体験もちょっとは浮かばれるのかも。

 

 

はじめに

私は京都大学を卒業し、東京大学の大学院で修士号・博士号をとり、一度理系らしく外資系医薬品メーカーに勤め、戦略コンサルティングファームに転職するというちょっと変わった道を歩んできました。

アカデミア、事業会社、プロフェッショナルファームと様々な場所を渡り歩いてきたため、いろいろな方々からキャリアについてたくさん相談を受けます。

特に理系大学院生。東大院生という世間的にはスーパーエリートに見える経歴をもっている若い人たちであっても、その多くは研究活動や就職活動で壁にぶつかっているのが現実です。

一流企業にせっかく就職した理系社会人も、相次ぐ企業の人員削減などで苦しんでいます。

そう、理系として生きるのって、結構キツい(笑) 

でも、ちょっとした考え方・行動のしかたの転換で、乗り越えられる壁も多くあります。

理系人間がみんなもっと楽しく、自由に、輝けるようになれば、サイエンスがもっと進歩して結果的に社会が良くなる!ちょっと大きすぎる目標かもしれないけれど、それにちょっぴり貢献するつもりで、いろいろなコツや、私が見聞きしてきたことを皆様にシェアしていきたいと思います。